ラボ40周年記念 ファイナルイベント 全てを語る子どもたちの目

TEC(Tokyo English Center)が、大企業の海外進出を支援すべく設立されたのが、1962年。わが国初の本格的な英会話教育機関として生まれ、それが母体となり、今から40年前に「ラボ教育センター」が設立されました。現在のような「テーマ活動」のもとが生まれたのが、その少し後のこと。当初は、歩きながら“Walk”、走りながら“Run”など繰り返していたそうですが、物語を体全体で動いたところ、子どもたちの目がパッと輝いたという発見から、現在のラボの教育方法が生まれました。ファイナルイベント初日の講演会(後半のお話より)でも応用言語学者の杉浦氏が、ラボの教育法を「事実が先に生じた」と説明。面白かったのが、「欧米の英語教育理論は、部品を並べて分析し、魚でいえば、切り身を並べて、子どもたちの前に示しているような方法。それに対し、ラボの教育法は、生き生きとした魚を、さっと子どもたちの目の前において、さぁ触ってみなさい、抱いてみなさいと言っているかのようだ」と表現されたことです。おりしも、杉浦氏は輸入されてきた欧米の英語教育理論に対して違和感を感じていたということ。おそらくフォニックスなどもそれに含まれるのではないかと私は感じていますが、それらは、移民をいかに早くアメリカ人にするかのための英語教育法であり、第二言語として学ぼうとしている日本人には、そぐわない教育法だと世界の英語教育現場を見てこられた青山学院大学教授、言語政策学、国際コミュニケーション研究者の本名氏も述べていらして、さらに納得。子どもたちは、「切り身の魚」よりも「ピチピチした魚」の方が好きなのだということを諸先生方が話されました。今回、慶応大学名誉教授、言語社会学の鈴木孝夫氏、筑波学院大学学長、教育社会学の門脇厚司氏、中高の英語教員養成を専門とされる和田稔氏、ほか上記の杉浦氏、本名氏を含む7名の方が代表となり、ラボ言語教育総合研究所が設立されました。教育崩壊がすすむ今こそ、このたぐいまれなラボの教育方法をもっと広く社会へ、さらに世界へ発信すべきだと感じていらっしゃるというお話がありました。大学受験を目標とする英語教育が、現在の中高の学校教育では主流ですが、それでどれだけ英語が話せる日本人が育ったのか、誰しもが疑問に感じています。細かい文法ミスで点数を引かれることで、どれだけ英語嫌いな子どもたちをつくっていることか。一方、ラボで英語を培い、様々なスピーチコンテストで、ラボっ子が発表し賞をとっていることも事実。自然なイントネーション、発音、そして語る力がつき、また若い頃に海外でのHomestayを体験し、英語が手段でしかないことに気づき、英語に対する構えがさらになくなり楽になることも実感しています。もちろん、ラボにも課題があり、元ラボっ子で応用言語学者のペレラ柴田女史が指摘するように「生の魚をそのままのみこんでいる」が、「どんな英語を使えばいいのか、CDで覚えたことばを外に出してあげる機会を増やすことも必要」と指摘。かつて和田氏に個人的に質問したさいも、当時、氏が「学校の文法学習とラボのような教育方法と、車の両輪のような関係だと感じている」と応えていらしたことも思い出され、ある年代になれば、両者のバランスも大切だと個人的には感じています。今回の研究所では、こうしたラボの課題も、今後の研究テーマとなり、さらに子どもたちの外国語習得を楽しく確実なものとできるようアクションも起こされると期待されています。今回、家庭の事情で前半の鈴木氏、門脇氏、田島氏のお話が聞けず書籍からしか読み取ることができませんが、ラボが国際社会で必要な「社会力」を育てる活動であること、発達心理学的にも理にかなった外国語習得法であることなどが、以前にもましてさらに具体的に実証されてきていると感じました。2日目、どれだけ多くの子どもたちが、生き生きと日本語、英語、スペイン語、韓国語などを情感豊かに発表したことでしょう。ラボ側にたっているため、ひいき目にはなりますが、観客を惹きつけるのは、やはり子ども自身が楽しく取り組んで発表しているからだと思います。本当に、生の魚を丸ごとのみこんでいるかのようです。しかし、これはたった一つの例ですが、『ながぐつをはいたねこ』を英語だけで発表した小学生達が、“Nothing impossible for me!”(心の中で、「できっこないだと!」)と叫んだときに、確かに丸ごとの英語ですが、切り身のことばよりもどんなに魅力的なことばで、一生忘れることはない「ことば」かということ。十分な言語習得ではないかと感じています。今は応用がきかないと言われるかもしれませんが、そんなことよりももっと大切なことを学んでいるような気がします。常にそこには仲間がいます。発表を終えたあとの達成感に満ちた目。仲間と一緒に、丸ごと外国語をのみこむ効用もたくさんあるはずです。真実は、子どもたちの生き生きとした目の輝きに隠されていると感じました。

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